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栂の小屋組み

高校生の頃ですから、30年以上前のことです。
繊維問屋が軒を並べる岐阜駅前は二重駐車が当たり前。
それは無法地帯と言うより、車も人も往来が激しく、新陳代謝が盛んな街の様子を物語っていました。
それが今や、閑古鳥も鳴かないほどのシャッター街。

岐阜駅前の或る建物を見て欲しいとの依頼で、出かけてきました。
元々は、戦後まもなく住宅として建てられた木造の建物。
その後、繊維の街・岐阜の既製服問屋街(今で言うテナント・フロア)に、隣家とひと続きに一階が改造されたイレギュラーでイリーガル(?)な形状です。
今回、隣家ともども解体されるとのことです。

一見は何の変哲もない岐阜駅前の繊維問屋の店構え。シャッターの脇にある玄関を入ると、すぐに階段です。
亡くなった先代よりもひとまわり以上年配の木材業界の大先輩に紹介・案内していただいたのですが・・・。
階段を昇って二階の住宅に入ると、思わず口から「えっ」と言葉がもれそうになったのです。
驚きました。
日常生活が営まれていて、新聞やら生活用品がありますが、建物自体の設えは瀟洒な茶室の意匠。
特に建具が素晴らしい。
襖は春慶と思しき漆仕上げ。
格子戸には屋久杉・神代杉が用いられているのですが、見付け(正面から見た断面)が薄く拵えられ、センスと技術の高さに惚れ惚れとしました。
また棹縁天井を見上げれば、棹の材質は皮付きの松。
素晴らしい材質の木材が使われながら、見付けなどの寸法が小さいので主張が控えめで嫌味さが全くありません。

天井板がめくられた屋根裏を指し、「中川さん、一番すごいのが屋根裏にあるんや。」と、懐中電灯を手渡し私に中を覗くよう勧められたので・・・。
梯子を上って見ると、暗闇の中には、縦横に渡された丸太の小屋組みが見られます。
すると背後から「その丸太は『栂』だよ。」と。
松の丸太で組まれた小屋組みは一般的ですが、栂は珍しくて貴重です。
改修工事を建築の側と材木屋の側の二つの視点から見てきた私は、木材は劣化すると考えています。
木材は伐採後、緩やかに強度を増し続け、300年ほど後に強度低下に転ずるとの研究がありますが、実際には個体差が大きいことや建築部位によって劣化した木材を多く見てきました。
しかし栂は経年劣化が、まずありません。

聞けば、一帯の建物が同時に解体されるとのこと。
何とか、この栂の丸太を再利用できないだろうかとの御要望でした。
私の答えは『一番良いのは解体工事を弊社・本庄工業に発注されることです。事情によって難しい場合が多いでしょうから、それができなければ解体業者さんに必要な木材を特定して、再利用できるように、キレイに取り除き処分しないで残しておいてもらってください。』と。

横架材に使われていた栂の丸太の古材など、滅多にあるものではない。
本音を言えば、『チョット待った!その解体!』となるのですが、なかなかそれが通らないのが世の中です。






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本庄工業株式会社
代表取締役 中川稔之

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